【感想】若きウェルテルの悩み / ゲーテ

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「規則に従って人間は決して没趣味なものやまずいものをこしらえはしない。ちょうど法律や作法によって身を律する人間が、絶対に不愉快な仲間だったりひどい悪者だったりすることがないようにね。しかしその代わりに規則というものはどんなものだって、自然の真実な感情と真実な表現とを破壊するものなんだ。これは明白だ。」(18)

ウェルテルの悩みの元凶は、理性を働かせて感情を律する道徳心を持ち合わせていたことだ。それが彼を理性的であることと感情的であることとの間の葛藤に貶め、最後には自殺に陥らせてしまった。
冒頭の言葉でゲーテは、理性で感情を律することができる人間は、悪い人間ではないが、つまらない人間なのだと批判している。それは、恋愛において盲目的であればよかったとの自己への戒めなのかもしれない。

今の若い世代は、恋愛に消極的であると揶揄される。

空気を読むだとか、相手に合わせるだとか、そういう言葉が横行している現代は、ある意味で理性が発達しすぎているのかもしれない。

理性的であることは往々にして大事なことであるが、感情的であることも恐らく大事な事なのだ。

 

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

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