【感想】代表的日本人 /内村鑑三

代表的日本人 (岩波文庫)

この本は,明治時代初期に,内村鑑三が海外の人々に日本人のすばらしさを伝えるために書いた本です.

もともと英語で出版された本ですが,時代を経て日本語訳されたものなんですって.

同じ経緯で,新渡戸稲造も海外の人に向けて「武士道」を書いていますが,それもいつか読んでみたいですね.

内村鑑三は,西郷隆盛上杉鷹山二宮尊徳中江藤樹日蓮上人の5人の代表的日本人の人生を紹介し,理想的な人間というものを読者に訴えています.

最近,本屋を覗くと,人を惹きつけるテクニックや人望を得るための方法が書かれた所謂ハウツー本が並んでいることがあります.
ハウツー本が悪いとは思いませんが,上辺だけのテクニックばかりを学んで,日本人が昔から持っている根底の思想や哲学・道徳心みたいなものが置き去りにされているような気がしてしまいます.

内村鑑三が紹介している人物は,たくさんの人から愛され,尊敬され誰もが理想と思える人々です.
これらの人物の人生をたどると,その人望の裏には,日本人が古くから大事にしてきた道徳を遵守してことが分かります.

道徳なんて古いなんて言われてしまうかもしれませんが,いつの時代になっても人間の心や考え方の傾向・文化は変わらないと僕は思っています.
現代社会で成功した人のハウツー本もいいですが,昔から大事にされてきた日本人の生き方・考え方に学ぶことの方が成功の近道かもしれません.

そういう意味では,この本は打ってつけです.
いつか壁に突き当たったときは,是非また読みたい本です.座右の書として大切にします.

 

代表的日本人 (岩波文庫)

代表的日本人 (岩波文庫)