【感想】 O・ヘンリ短編集(1)(2)(3)/O・ヘンリ

 

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O・ヘンリの短編集。3冊で46作品が収録されている。 
短編小説の多くは、人生の教訓に満ちており、僕たちに、人生をより良く生きるためのヒントを与えてくれる。 
中でも、僕が気に入った作品を紹介したいと思う。 

【警官と讃美歌】 
一巻の一番最初に登場する作品。 
刑務所の生活がすっかり板についた囚人は、いざ釈放されたところで、雨風が凌げ、食事に在り付くことができ、仲間がたくさんいる刑務所にすぐに戻りたくなるものらしい。この物語の主人公ソーピーもその1人。釈放されたその日から、刑務所に戻るためには、どう犯罪を犯せばいいか頭を巡らせた。しかし、いくら目的を果たそうと努力してもどうもうまくいかない。途方に暮れたその足で、偶然通りかかった教会から流れる讃美歌を聞く。その讃美歌は、彼を改心させ、もう一度まっとうな人生を歩むもうと彼に勇気を与える。その勇気が沸き起こった頃、ソーピーは、警察に肩を叩かれる。禁固3か月。勇気は、どこかに飛んでってしまった。 

人間の心は、移ろいやすく、奮い起こした勇気も、縁によって簡単に飛び去ってしまう事が往々にしてある。さらに、その勇気をそぎ落とす縁というものは、決まって勇気と決意の隣にいつもいるものだ。気を付けなければいけない。 

【手入れのよいランプ】 
同じ故郷から、都会に出てきた2人の女性。そのひとり、ルーは洗濯屋で地道にお金を稼ぎ背丈のあった男性ダンという恋人を持っている。もうひとりナンシーは、デパートのショップガールとして働き、デパートにやってくる金持ちの男性と玉の輿の結婚を日々狙っている。 
2人の価値観は、正反対であり、話の成り行きからすれば、ルーがハッピーエンドを迎える物語だと読者は予想するだろう。しかし、その予想は、覆される。 
この物語の教訓は、他人の持っている価値観を無理やり自分に着せたところで本当の幸福というものは得られないという事ではないかと僕は思う。自分の価値観に忠実に生きるという事は、なかなか難しい。世間の考え、他人の価値観に翻弄され、知らぬうちに他人の価値観の上で行動していることがしばしばあるような気がする。それでは、後悔が残ってしまうだろう。 

【二十年後】 
親友の仲である2人の男が、ある日、それぞれの夢に向かい別々の道を歩み始める。歩みだす決意をを決めたその日、2人の男は20年後のまさにその日のその時間、その場所で再会し、お互いの成功を祝いあおうという約束を立てる。 
20年後、彼らは、泥棒と警察という形で再会することになる。 

この物語を引用して、話をしてくれた人がいる。良き人間に成長するためには、良い縁を持つことがとても大切である。 
20年前の2人の青年は、同じような能力、志を持っていた。20年間の道程で違ったのは、その青年たちを取り巻く周囲の環境。つまり人との縁の違いだった。それだけ、自分を取り巻く人との縁とは大切なものなのだ。 

 

 

O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)

O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)

 

 

 

O・ヘンリ短編集 (2) (新潮文庫)

O・ヘンリ短編集 (2) (新潮文庫)

 

 

 

O・ヘンリ短編集 (3) (新潮文庫)

O・ヘンリ短編集 (3) (新潮文庫)