【感想】大地の子(1)~(4) / 山崎豊子

大地の子〈1〉 (文春文庫)大地の子〈2〉 (文春文庫)大地の子〈3〉 (文春文庫)大地の子〈4〉 (文春文庫)

 

戦争の犠牲になるのは、いつの時代も名もなき民衆である。戦争による犠牲は、その戦争が終わってからも長い年月にわたって爪痕を残す。その中の1つに、残留孤児の問題がある。

 

この物語は、第二次世界大戦の折、日本人の残留孤児として中国に残された主人公 陸一心の壮絶な人生を描いた作品である。

 

残留孤児の問題は、第二次世界大戦時代に、日本が中国から奪った領土に満州国を作ったことを発端としている。政府は、その満州国を開拓するために日本人の多くを移民させた。しかし、日本は敗戦し、満州国の開拓団として移民した日本人の多くは、中国に取り残されることになってしまった。残された日本人は、日本政府から見捨てられ、中国で「憎き敵国の生き残り」として酷い差別を受けながら生きなければならなくなったのだ。

 

戦争の時代とは、民衆が権力者の駒として扱われ、一方的に傷つけられる。そして、個々の民衆の苦しみを権力者は知ろうとしないだろう。いつもそうなのだ。犠牲を強いられるのは、民衆だけなのだ。

 

 

大地の子〈1〉 (文春文庫)

大地の子〈1〉 (文春文庫)

 

  

大地の子〈2〉 (文春文庫)

大地の子〈2〉 (文春文庫)

 

  

大地の子〈3〉 (文春文庫)

大地の子〈3〉 (文春文庫)

 

 

大地の子〈4〉 (文春文庫)

大地の子〈4〉 (文春文庫)